
福島県白河市で100年以上の歴史を持つ老舗和菓子店「白河菓匠 大黒屋」。
日本最古の公園と言われる「南湖公園」のほとりに店舗とカフェを構える同社は、年末年始や紅葉シーズンなどの繁忙期に「おてつたび」を導入しています。
初日の30分間のオリエンテーションと試食、自費で打ち上げた大晦日の花火、そして「宿泊施設がないなら地域で貸し借りすればいい」という枠を超えた提案まで。
白河を愛し、多方面で地域を盛り上げる古川雅裕(ふるかわまさひろ)社長に、おてつたびのリアルな感想とこれからの展望を伺いました。

人手不足の解消だけじゃない。途絶えてしまった「学生との交流」をもう一度
── おてつたびを導入されたきっかけを教えてください。
福島県(県南地方振興局)からこういう取り組みがあると紹介されて、年末年始に新しい店舗とカフェで試してみようと思ったのがきっかけです。ただ、その背景には「以前やっていた活動」への想いがありました。
この白河には大学がないので、若いアルバイト層が非常に薄いんです。そこで以前は、地元の高校生をサポートするカフェに県外の大学生をボランティアで呼んで、「故郷キャンパス」という、いわば“おてつたびの学生版”みたいなことをやっていたんです。

── すでに独自の受け入れ活動をされていたんですね。
ええ。でも、その企画を中心になって進めていた学生が卒業すると、どうしても途絶えてしまうんですよね。
そんな時に「おてつたび」という仕組みを知り、「これならまた町に人が呼べる」と直感しました。単なる人手不足の解消ではなく、もう一度白河を体験してもらって、ここが好きになって「第2の故郷」という気持ちになってもらえる出会いの場として、すごくいい仕組みだなと思ったんです。
── 実際に募集してみて、どんな方が来ましたか?
最初は以前のように学生さんが来るかなと思っていたんですが、実際に募集してみると40代・50代の方が非常に多くて驚きました。皆さん、年齢以上に若々しくて、旅そのものを心から楽しんでいるんですよね。
行く先々での出来事を「新たな体験」として、すごく前向きに取り組んでくれるんです。おてつたびって旅館や農家さんの募集は多いみたいですが、「和菓子屋に泊まり込みで働く」というのは珍しいらしくて。そういった初めての環境も新鮮に捉えて、すごく興味を持って、面白がりながら仕事をしてくれました。
── 皆さん、本当にアクティブなんですね。
そうなんですよ。例えば最初に来てくれた方は、本当にアクティブな方で。50代の方だったんですが、なんと150ccのバイクに乗って、うちに来る前に宇都宮で一泊してから白河まで来てくれたんです。
働きぶりも真面目なうえに、ご自身のインスタに夜の南湖公園や紅葉のライトアップの様子を載せて、うちのことや白河の町を自発的にPRしてくれて。ただ言われた仕事をするだけじゃなく、そうやって自ら町を楽しんで発信までしてくれる前向きな姿勢には、本当にありがたかったですね。
── 採用の際に、何か重視しているポイントはあるんでしょうか?
うちは接客業なので、書き込みを見て「前向きで活動的か」ということと、見た目の雰囲気で「人柄が良さそうか」を見ました。
うちの会社で働いているスタッフもみんな、人柄がいい子ばかりなんです。「人柄採用」というか、本当に性格のいい子たちが長く勤めてくれている。だから、おてつたびで来る人ともうまく合うんじゃないかなという予感はありましたね。
短期人材を「ただのアルバイト」にしない。初日に30分理念を伝える理由
── 参加者の方のレビューに「初日のオリエンテーションで、白河やお菓子への想いをたくさん伺い、一通りお菓子を食べさせてもらった」とありました。
大体、来た初日は顔合わせとシフトの確認ぐらいで終わるらしいんですが、うちは新入社員に近い研修を30分ぐらいやるんです。会社の理念や「100年宣言」、使命などを、ホームページを映しながらしっかり説明します。商品をお客さんに自分の言葉で説明できるように、味も知ってもらっています。

── 短期間のお手伝いの方にも、そこまで丁寧に伝えるんですね。
初めて来て接客したとしても、お客さんにとってはただのアルバイトではありませんからね。やっぱり、私たちと同じ思いや考え方、どうしてこのお菓子があるのかを知った上で接してほしいんです。
一生出会わないはずの人が、たまたまこうやってうちに来てくれる。その人たちがこの町のファンになり、うちのファンになってくれるきっかけになれば、これほど嬉しいことはないですよね。単に人手が足りて良かった、という話ではないんです。

繁忙期の年末年始を、特別な体験に。
── 古川社長は、イベントやまちづくりにもかなり力を入れられているそうですね。
私、イベントやまちづくりが大好きで(笑)。振興局のサポートで映画館を作ったり、映画祭をやったりと色んな活動をしていまして。
去年の大晦日なんて、南湖公園のカフェの前で、自費で花火を上げたんですよ。
知り合いが「江戸時代から続く花火を上げる」って言うから、「じゃあ大黒屋とこんにゃく屋でも一緒に上げよう!」となって。
── おてつたびの方も一緒に見られたんですか?
もちろんです。おてつたびの方には大晦日の夜はお休みにして、一緒に年越しそばを食べて花火を見てもらいました。
その代わり、翌日の元日はカフェで働いてもらったので、労いとして一緒にすき焼きとおせちを食べました。本当にお正月のお祝いをしましたよ。すごく喜んでくれましたね。

「宿泊施設がない」事業者の解決策に。部屋を貸し合う、枠を超えた地域連携の提案
── おてつたびの活用について、他の事業者さんへも広めていただいているとお聞きしました。
そうなんです。今年から商工会議所の議員になって観光担当になったんですよ。だからさっそく担当者に、「県の事業だけでなく、商工会議所の事業の中でもおてつたびを紹介して連携できないか」と提案しました。
県が独自にチラシを出して呼びかけるだけでなく、商工会議所でも窓口を広げて、興味のある事業者を集めておてつたびの方に講師として来てもらう。そういう風に、もっといろんな人に知ってもらう機会を作ったほうがいいと思うんですよね。
── 素晴らしいですね。ただ、普通の業種だと「宿泊場所がない」というのがネックになって諦める事業者も多いと聞きます。
そこは別に、同じ町で協力し合えばいいと思うんです。
うちは部屋が余っていますし、私たちが使わない時に泊まっても構わない。「うちの宿泊施設に泊まって、別の会社に働きに行く」という形でも、やれると思うんです。そうやって地域全体で協力して、白河を面白くしていけたらと思っています。
【参加者の声】白河愛に溢れるおもてなしと、リアルなアドバイス
実際に大黒屋でおてつたびに参加された方々のレビューからは、温かい職場の雰囲気と、次回参加者への実践的なアドバイスが寄せられています。
▼ 職場の雰囲気・おもてなしについて
「どの店舗の方も親切で丁寧に教えて下さり、手間取る時や忙しい時でも嫌な顔をされることはありませんでした。白河愛に溢れたエネルギッシュな社長さんとコーヒー大好きな店長さん、笑顔の素敵なほんわか店員さんとの出逢いに感謝です」(50代女性)
「白河プチ観光にお買い物の車出し、年越しのお食事会への招待などなど、短い間に大変お世話になりました。休日はお借りした電動アシスト自転車で白河ラーメンを食べに散策して楽しみました」(40代女性)
▼ 業務内容と、準備しておくと良いもの
「水仕事や箱折り作業があるので少し手が乾燥しやすいです。また、宿泊するお部屋の窓にカーテンが無いので、アイマスクがあると良いかもしれません」(50代女性)
「近場にコンビニやスーパーがなく、仕事後は冬場で暗くて寒いこともあり、お買い物のために車を出していただくことがありました。室内スリッパ、洗剤、(あれば)ポケットWi-Fiなどを持参すると便利です」(40代女性)
※大黒屋からの補足:現在はベッド、机、オイルヒーター、ハンガーなどを完備。車出しや電動アシスト自転車の貸し出しも行っています!
四季折々の白河で、新たな出会いを待っています
単なる「人手不足解消」の枠を超え、参加者を地域のファンに変えてしまう大黒屋の取り組み。
白河は、春には南湖公園の美しい桜が咲き誇り、夏には鮮やかな緑、秋には見事な紅葉、そして冬には静寂な雪景色と、四季折々の美しさを見せてくれる町です。
インタビューの中で、古川社長はご自身の想いをこう語っていました。
「私はメリットとかデメリット、損得でやっているわけじゃないんです。必ずしもうちで働かなくても、ここに来てこの町を好きになって帰ってもらう人を増やすことには、何ら問題はない。おてつたびを通して、一生出会わないはずの人と『出会わせていただいている』。それが一番なんですよね」
大黒屋では、これからもお盆や紅葉、年末年始などの繁忙期を中心に、幅広い方々との出会いを楽しみにしています。
「白河という町を知ってみたい」「熱い想いを持った地域の人と交流したい」。
ぜひ大黒屋に応募してみてください。きっと、かけがえのない「第2の故郷」が見つかるはずです。

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