「意外と全然いけるな」。その自信が、次の旅へ連れ出した。

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「え、1万円…」

バスの予約で、ドキドキしていました。当時大学1年生だった井上朋音さんにとって、大きいお金を一気に使うのは初めての経験だったそうです。

「これ、間違ってないかな」
「本当にひとりで、辿り着けるのかな」

鳥取県から昼のバスで大阪へ。そこから夜行バスに乗り継ぎ、10時間以上の初一人旅。

春休みの10日間。新たな一歩を踏み出した井上さんに、そこでの出会いと経験をお話しいただきました。


目次

その土地でしか出会えない魅力を見つけながら旅をする

ーー おてつたびに参加しようと思ったきっかけはなんだったんですか?

高校生の時に、YouTubeを見て知りました。

大学生はお金がないけど旅行はしたい。交通費はかかりますが、行った先でお金を稼ぎながら美味しいご飯も食べられて、いい出会いもあって……というのがすごく素敵だなと思って。

お金を稼ぐことだけが目的ではなく、「その土地でしか出会えない魅力を見つけながら旅をして、その中でちょっと働く」というイメージでした。

ーー 初めての参加先に「長野県・志賀高原」だったんですね。選んだ理由は?

もともと家族旅行で行った長野県が楽しかった記憶があったのと、条件がすごく良かったからです。

当時、大学1年生の春休みだったんですが、おてつたびって1ヶ月以上の長期募集も多いんです。でも、今のアルバイトを長期で休むのは申し訳ないなと思っていて。

ここは期間が1週間ちょっとの募集だったので、アルバイト先にも「ちょっと行ってきます」と言えるくらいの、ちょうどいい期間だったのも決め手でした。それに、3食まかない付きで、スキー用具も借りられる。「これは行くしかない!」と思って、見つけてすぐに応募しました。

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初おてつたび先「HOLIDAY PLAZA」と宿泊場所

「着いた時」が一番の達成感でした。

ーー 出発前はどんな気持ちでしたか?

ワクワクの気持ちが強かったです。お母さんには、「大丈夫?」ってすごく心配されましたが(笑)。

「初めての夜行バス」でしたし、自分にとって大きいお金を使って、一人で知らない土地へ向かう。「ちゃんと着けるかな?」という不安と、初めての一人旅への楽しみが入り混じっていました。

ーー 実際に現地に着いた時はどうでしたか?

早朝の6時くらいに着いたんですけど、「着いた時」が一番達成感がありましたね。

「あ、できた!」「集合時間に間に合った!」って(笑)。

集合時間まで少し余裕があったので、近くの「地獄谷野猿公苑」まで観光に行きました。

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初一人観光で見た野猿

「じゃあスキー行きます!」って(笑)。

ーー 現地ではどんなお仕事をしましたか?

朝の7時くらいから、スキー合宿に来ている小中学生の食事準備がメインでした。プレートにお料理をセットしていったり、食べ終わったお皿を回収したり。ときどき、部屋の掃除や布団の片付けもしました。

ーー 自由時間はどう過ごしていましたか?

朝の仕事が終わってまかないを食べたら、そこから夕方までは自由時間です。

ホテルの方に「働きたかったら働けるけど、スキー行きたかったら行っていいよ」と言っていただいたので、「じゃあスキー行きます!」って迷わず行きました(笑)。

吹雪の日以外は毎日、おてつたび仲間の大学生と一緒にゲレンデへ行っていました。

仕事が終わった後は、ホテルのお客様と同じ温泉に入れるし、ご飯もすごく美味しいし、最高の環境でした。

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盛りだくさんの美味しい賄い

「裏側ではこういう方たちが働いて支えてくれている」。

ーー 現地ではどんな人たちとの出会いがありましたか?

私を含めて4人のおてつたび参加者がいたのですが、そこでの出会いが本当に大きかったです。

特に仲良くなったのは、当時大学4年生だった女性です。出身も年齢も違いましたが、最初は向こうから話しかけてくれて。話してみたら、お互いに「医療系」の道に進んでいるという共通点があって、すぐに意気投合しました。スキーも一緒に滑りましたし、今でも連絡を取り合う仲になりました。

もう一組は、定年退職後にご夫婦でおてつたびをしている60代の方々。旦那さんが以前参加して「良かったから」と奥様を連れてこられたそうで、「理想の夫婦だよね」って話すくらい仲が良くて素敵でした。

他にも、秋田から出稼ぎに来ている方や、タイのスタッフさんもいて。 最初は言葉の訛りに驚いたりもしましたが、仲良くなってからは「これ食べる?」って干し柿をくれたりして。すごく良くしてもらいました。

普段、自分がお客さんとして利用しているだけでは気づかないけれど、「裏側ではこういう人たちが支えてくれているんだ」と、実際に働いている人の「存在」を知れたことで、すごく視野が広がったと思います。

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一緒に参加したおてつたび仲間と、スキーを楽しむ
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スキー場レストランでクレープを楽しむ二人

「意外と全然いけるな」。

ーー おてつたびを終えて、自分の中で変化はありましたか?

一番の変化は、「やってみたら意外とできるもんだな」って自信がついたことです。

出発前は「知らない土地で、10日間も一人で過ごせるかな?」と少し不安もありましたが、終わってみれば「意外と全然いけるな」って。

その自信がついたおかげで、ずっとやりたいと思っていた「東南アジアへのひとり旅(3週間)」にも挑戦する勇気が出ました。

ーー えっ、2回目の一人旅で海外へ?

はい(笑)。おてつたびをしていなかったら、一人で海外へ行く勇気までは出なかったと思います。「一回一歩踏み出してみれば、意外とできるんだよ」っていうのを、おてつたびで学べたからこそ、親に心配はされても「行ってくるよ!」って飛び出せました。

タイで旅人たちと出会えたのですが、ネイティブの彼らの英語がほとんど聞き取れなくて……。もっと深い話をしたかったのに出来なかったのが、本当に悔しかったんです。

帰国後はそれがきっかけで英語の勉強を猛烈に頑張りました。次は、その英語を活用したくて、海外のお客様が多い新潟県「ホテル太閤」でのおてつたびに参加する予定です。

おてつたびも旅も、“その時だけ”で終わるものではなく、こうやって思わぬところで“繋がっていく”というのが魅力だなと感じています。

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タイ→ベトナム→マレーシア→シンガポールと東南アジア一人旅を満喫する様子
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タイで仲良くなった旅人

ーー その他、進路や目標に変化はありましたか?

航空業界や観光業界など、一見医療とは関係ない業界にも興味が湧いてきました。

私は大学で医学部の勉強をしているのですが、医療の世界って「命を守る」「チームで動く」というのが特徴なんです。

旅を通して空港や飛行機を見た時に、同じように「いろんな職種の人がチームとなって、ひとつの飛行機を飛ばしている」と気づいて。そこにかっこよさを感じて魅了されました。

最初は「自分には無理だ」と思っていたんですけど、学部に関係なく挑戦できるコースがあることなどを知って、「自分でも挑戦できるかもしれない」と思えました。

おてつたびで外の世界に出ていなければ、そんな発想自体、私の中になかったと思います。

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1番最初の旅が始まる時に関空でみた飛行機に、ワクワクが止まらなかったそう。

ーー 最後に、学生の皆さんへメッセージをお願いします。

私にとっておてつたびは、「自分の知らない世界を見れる場所」です。

私は医療系の学部なので周りの人間関係も医療系ばかりです。

だからこそ、あえて違う世界に飛び込んでみたい。この春休みは、英語が使える環境でのおてつたびも本当に楽しみです。

「自分にできるかな?」と迷っている人も、一歩踏み出してみれば、きっと新しい自分に出会えると思います!


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