「大阪での日常を飛び出し、南阿蘇へ」──60歳で挑戦した『おてつたび』から、正社員・熊本移住へ至った1年間のリアル

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【おてつたび参加者プロフィール】

塩田 恵子(しおた けいこ)さん(60歳) 大阪府(堺市)出身。長年、接客や販売などの仕事に従事。2025年7月、おてつたびを通じて熊本県南阿蘇村の「地獄温泉 青風荘」へ参加(調理補助業務)。当初は2ヶ月間の滞在予定だったが、現地での温かい人々との出会いや居心地の良さに惹かれ、そのまま正社員として定住。南阿蘇で新しい生活を歩んでいる。

目次

「もっと人と関わりたい」──60歳、大阪から九州への第一歩

──おてつたびに応募されたきっかけを教えてください。

塩田さん:おてつたびの存在は、テレビの特集番組やGoogleニュースで見て知っていて、「こういうサービスがあるんだな」と前々から気になって会員登録をしていました。
長年、大阪で接客や販売の仕事をしてきましたが、直近ではバックヤードで商品をパック詰めする作業を中心にしていました。職場の人間関係は本当に良かったのですが、元々いろいろな人と会話しながらワイワイ働くのが好きだった私にとって、黙々とこなす作業はどこか物足りなくて。「もっと人と関わる仕事がしたい」「元々好きだった九州か北海道へ行ってみたい」という想いが強まり、久しぶりにおてつたびのサイトを開いて見つけたのが、熊本県の「地獄温泉 青風荘」でした。
当時フルタイムのパートで働いていた職場には「2ヶ月間、熊本へ行ってきます!」と伝えました。「えっ!?」と驚かれましたが、周りの皆さんに温かく送り出してもらいました。

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送迎車で「登れど登れど山!ここどこ!?」──アットホームな交流に救われた休日

──実際に南阿蘇に到着された時の第一印象はいかがでしたか?

塩田さん:送迎の車に乗せてもらったのですが、登れど登れど山で(笑)。「そろそろ着きますか?」と聞いたら「まだ半分くらいです」と言われて、「えっ!どこまで行くん?ここどこ!?」というのが最初の素直な感想でした。堺市の市街地近くで暮らしていた私にとって、電車も30分に1本あるかないか、駅からも遠く、周りに自然しかない環境はギャップがすごく大きかったです。1年経った今でも相変わらず何もありません(笑)。
でも、その不安は現地の人たちの温かさにすぐ消し去られました。
車を持っていなかった私に、通いで働いている親子スタッフ(お母さんと娘さん)がすごく親切にしてくださって。毎週のようにおうちへ連れて帰ってくれたり、買い出しや近場の観光スポットへ車で案内してくれたりしたんです。おうちにお邪魔して、一緒に何十話もあるドラマを観て過ごしたりして、まるで自分の家のように過ごさせてもらいました。
当初は乗せてもらうばかりでしたが、今では私も交通手段(車)を手に入れたので、海外から来ている留学生や若いスタッフの買い出しに乗せていってあげたりしています。

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裏にある夜峰山の景色

山登りもしない私が残った理由──「宇宙人」みたいな仲間と人柄の魅力

──青風荘の職場環境や人間関係はいかがでしたか?

塩田さん:青風荘で働くスタッフは一人ひとりの個性がすごく強くて、例えるなら「宇宙人の集まり」みたい(笑)。半分冗談ですが、考え方や伝え方が違うだけで、根が本当に良い人ばかりでお互いを尊重し合える心地よさがあります。
実は、私は山登りが好きなわけでもないですし、温泉マニアというわけでもありません。周りは「山が好きだから」と来る人も多いのですが、私がここに居続けている一番の理由は、間違いなくスタッフ一人ひとりの「人柄」が好きだからです。
また、青風荘には定期的に「おてつびと(参加者)」がやってきます。新しい人が来るたびに「あら、また新しい人が来たの」「あなたも帰るのね」なんて会話をしながら、入れ替わりを楽しんでいます。みんな最初はわけもわからず来て緊張していると思うので、お話を聞いたり「おはよう!」と声をかけたりして、新しく来る人たちを迎える側にまわるのが今の私の密かな楽しみです。

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おてつたび参加者と観光!今では受け入れ側に

「帰ったら何するん?ずっといればいいやん!」──大阪の家を引き払い、南阿蘇が「私の家」に

──2ヶ月の期間が終わった後、そのまま定住・正社員になられた経緯を教えてください。

塩田さん:最初は2ヶ月が終わったら大阪に戻る予定で、元の職場にも「1回向こうで住んでみるけど、ダメだったら戻ってくるから場所を空けておいてね!」と言って来ていました(笑)。ですが、期間が終盤に近づくにつれて、同僚たちから「帰ったら何するの?」「ずっとここにいればいいやん!」と声をかけていただくようになって。
大阪に戻って片道1時間かけて通勤する生活に戻るよりも、人の温かさがあり、敷地内に住む場所も温泉も食事の環境も整っているここで働く方がずっと魅力的だと感じ、残ることを決めました。
最初は2ヶ月の「おてつたび」だったはずが気づけば1年が経ち、大阪の借り家も引き払って、すっかりここが「私の家」になりました。最初は突然の熊本行きに驚いていた娘や孫も、今年の春には旅行で遊びに来てくれて、青風荘に一緒に泊まっていってくれたことが本当に嬉しい思い出です。

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すずめの湯

「正しく知って、足を運んでほしい」──南阿蘇を愛する一員としての想い

──現地で暮らす中で、熊本や南阿蘇の現状について感じていることはありますか?

塩田さん:地震や災害の報道があると、遠方の方は「熊本全体が大変で、もう行けないのではないか」と心配されて足踏みしてしまうことがあります。ですが、実際に現地にいる私たちからすると、水や道路などのインフラも整っていて、元気に営業している場所がたくさんあります。
被災された地域の方々も、決して街が廃れていくことを望んではいません。報道だけを見て避けてしまうのではなく、今行ける場所を見つけて足を運び、そこで食事をしたり買い物をしたりしてもらうことが、巡り巡って地域や被災地への一番の復興支援になります。地元の人たちも、来てくださることを心から喜んでいます。
副社長も「ここは200年続いてきた旅館だから、色々なことを乗り越えてきているよ」とおっしゃっていました。標高750mの自然や寒さもありますが、長年培われてきた安心感の中で、日々温かい気持ちで過ごせています。

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熊本・阿蘇『地獄温泉 青風荘』

これから一歩を踏み出す方へメッセージ

──これから「おてつたび」や移住を検討している方へアドバイスをお願いします。

塩田さん:住環境も大切ですが、一番重要なのはやっぱり「人間関係(人)」だと思います。
妥協できるところは妥協して、折れるところは折れて通すところは通す。上手く人間関係が作れれば、「もう少しここにいようかな」と自然と思えるようになります。
周りから見ているだけでは、現地の本当の良さや人の温かさは分かりません。年齢を理由に迷っているなら、思い切って一度飛び込んでみてください。おてつたびなら、長期滞在を通じて現地の人や空気感との相性をしっかり確かめることができますよ!

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看板猫ゆきみちゃん

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