今回は、おてつたび先で出会った風景や人々を元にしたイラストを描いてきたイラストレーター、臼井 俊介(ウスイ シュンスケ)さんにお話を伺いました。

1. 自己紹介をお願いします!
ー 臼井さんの自己紹介をお願いします。
広島県尾道市でフリーのイラストレーターをしています。もともと東京で10年間暮らしていたのですが、コロナ禍をきっかけに地元広島県呉市へ戻ってきました。
仕事はリモート中心で、イラスト制作やデジタルイラスト講座を行っています。ただ、講座がない日や絵の発注がない時期は時間がぽっかり空くこともあって。そんなときに、おてつたびの存在を知りました。

臼井さんの魅力的なイラストはこちらから
2. なぜおてつたびに参加し、イラストを描くようになったのですか?
ー おてつたびに参加したきっかけは何だったのでしょうか?
ガイアの夜明けを見た親戚が「おてつたびっていうサービスがあるらしいよ」と教えてくれたことがきっかけです。
最初はただ空いた時間を有効に使えたらいいな、というくらいの気持ちで参加しまして、イラストを描くつもりは特になかったんです。でも地域の方と交流するうちに「この地域の風景、描いてみたいな」と思い、何気なく描き始めました。
そうしたら思いのほか楽しく、今ではおてつたびのシメとしてイラストを描くのがすっかり習慣になりまして…さらに描いた絵をおてつたび先に送ると、「キャンバスにしてほしい!」「ポスターにできない?」とお声をいただくこともあります。
ー イラストを描くことが、ライフワークになっていたのですね。
イラストは、地域の人たちとつながるきっかけになっています。 そこから「おてつたびをしながら絵を描く」というスタイルが生まれ、これまで8回おてつたびに参加し、11ヶ所 の地域を訪れました。
3. おてつたびで、どんな人と出会いましたか?
ーおてつたび先では、どんな方と出会ってきましたか?
例えば、広島県尾道市瀬戸田にあるまきむら農園の槇村さん。僕の初めてのおてつたび先でした。槇村さんは、尾道で開いた個展にも足を運んでくれたんです。おてつたびで出会った方が、こうやって別の場所でもつながり続けてくれるのは本当に嬉しいですね。


あと、実は槇村さんのご紹介で、妻とも出会いまして…
ーなんと、おめでとうございます!槇村さんがまさかの恋のキューピットだったなんて…!
妻は僕がおてつたびを終えた後に、お仕事の手伝いでまきむら農園を訪問しました。妻も絵を描くのが好きなんですけど、それを知った槇村さんが僕の描いたイラストを紹介してくれたそうです。妻は「実際にある地域のものと融合している絵を描いているところがすごい」と僕の絵を見て褒めてくれて、その後連絡を取り合いはじめ、今に至ります。

ー素敵なお話ですね。他にもどんなご縁があったのですか?
地元でもある呉に帰省したとき、以前おてつたび先として訪れた広島県呉市の石野水産のことを思い出して、アポなしで突撃したことがあります(笑)。そうしたら、ちょうど石野水産の代表である石野智恵さんのお母さんと会えたんです。
お母さんは「またおてつたびで来んさい!」って温かく迎えてくれて、石野水産のちりめんまでいただいちゃいました。
ー「ただのお手伝い」で終わらずに、おてつたびの後でもつながりが続いているのですね。
嬉しいですよね。他にも、広島県竹原市の神田精果園でのおてつたびでは、ちょっとユニークな出会いがありました。そこで描いたのは、女の子の「ふうちゃん」とカエルの「かーちゃん」が登場するイラストです。

カエルを描いたのは、参加した時期が梅雨で、ブドウを育てているハウスにはカエルがたくさんいたから。そして女の子を描いたのは、一緒におてつたびに参加していた2人が偶然にも、どちらも「ふうかちゃん」だったからなんです。そこでその名前をもじって、キャラクターにも「ふうちゃん」「かーちゃん」と名付けました。そんな偶然と、その場の景色が重なって生まれたイラストは、今でも楽しい思い出として心に残っています。

ー 何気ないけど面白い出会いも、イラストになるとよりいい思い出になりそうですね。
あとは、宮城県栗原市の旧奥州街道有壁宿(以下有壁宿)を訪れた時は、同じくおてつたびで来ていた歌手の方とコラボパフォーマンスしちゃいました。
公民館でライブをすることになって、僕はおてつたび先で見た線路の絵をホワイトボードに描き、彼はギター片手に歌ってくれました。地域の人たちも集まってくれて、みんなで一緒に楽しめたのが最高でした。
ーおてつたびに行くたびに、ただの旅じゃ味わえないような人とのつながりが生まれて、それが臼井さんのイラストにも現れているのかな、という感じがします!

4. おてつたびが、イラストにどう影響しましたか?
ー おてつたびがどんなイラストを描くことにつながったのか、より伺いたいです。このイラストは漁港でしょうか?

これは、石野水産の風景を描かせていただいたときのイラストです。地元とはいえ、普段の生活ではなかなか足を運ばない場所だったので、「地元にこんな漁港があったんだ!」と新鮮な発見でしたね。
そのときはおてつたび先のご家族の息子さんと娘さんをモチーフに絵を描かせていただいたんですが、描いているうちに、息子さんが僕のiPadに夢中になってしまって(笑)。気づけばずっとiPadでお絵描きしてました。
ー 息子さん、可愛らしいですね(笑)こちらの絵はりんごでしょうか?

これは、長野県信濃町にある黒姫高原ホテルでのおてつたび中に描いた一枚です。長野県の北信地方には「黒姫伝説」という、黒龍と黒姫にまつわる民話があって、そのお話を聞いて描いてみたんですよ。頭にりんごを乗せているのは、「長野といえば…りんご?」という安直な発想から(笑)。
でも、そんなイラストを見たホテルの方が「ポスターにしてもらえない?」と声をかけてくださって。なんと、グッズ化も検討してくれているみたいです。

ー おてつたびを通じて描いた絵が、地域の人たちにも喜ばれてるんですね。
ありがたい話です。
おてつたびで身につけた服をモチーフに描いたイラストもあります。

このイラストは有壁宿にて描いたものです。なので有壁の「かべちゃん」と名付けました。そこではガイドさんが考えたツアーに参加したんですが、そのときに参加者で身につけたお揃いの服をデザインにしました。

ツアーで偶然見かけたのが、まちに唯一ある酒屋、萩野酒造さんです。僕の実家が酒屋さんだったので気になってしまいまして…ルートに組み込まれていなかったのですが、ガイドさんにお願いしたところ「行きましょう!」と寄ってくれました。その場で地域の取り組みにジョインできるところも面白い点でした。

6. イラストレーターから見た、おてつたびの魅力
ー 最後に、イラストレーターである臼井さんから見たおてつたびの魅力を教えてください。
おてつたびでは、地域の人たちとの出会いも楽しいですが、何より「場所との出会い」が印象に残っています。
これはまきむら農園さんのおてつたびで描いたもので、瀬戸田にある真っ黄色の橋を取り入れたイラストです。

まきむら農園のある高子島には、この橋を渡らないといけないんです。その真っ黄色の姿が印象的でした。地元にも真っ赤な橋(音戸大橋)があるため、その影響もあるかもしれないですね。
あとは、まずは、仕事をしながら「リアルな地域の姿」に入り込めることだと思います。
単なる旅行だと、どうしても観光客目線でその土地を見ることになっちゃうんですけど、おてつたびでは仕事を通じてその地域の暮らしに入り込める点がいいなと思いました。働いてみてるとか暮らしてみるとか、入ってみないと知ることのできなかったことも多かったですね。それがイラストに反映された面も多々あります。
ー実体験として、おてつたびをやってことで気づいたことはありますか?
このイラストはまきむら農園さんで働いていた際に描いたみかんの女の子です。名前は「たまみちゃん」と名付けたのですが、「たまみ」というのは、みかんの種類のひとつなんですよね。まきむら農園さんでのおてつたびをきっかけに、みかんにたくさんの種類があることを知って驚きました。なのでみかんキャラは実は4人ぐらいいます(笑)

実際に農園で働かせてもらいながら、何でこの名前になったのかなど、色々聞かせてもらい、仕事の魅力も見えてきました。働いている人にエピソードを聞くって、おてつたびみたいに働くぐらい入り込んだ関係じゃないとできないですよね。
ー確かに、現場の人々と一緒に何かをすることで、初めて知ることや見えてくることって多いですよね。
また、ご縁が広がって、予想外の出来事がいっぱいあったこともおてつたびの大きな魅力です。おてつたびを通じて出会った人とは、終わった後もつながりが続くことが多かったですね。実際に、僕もおてつたびで訪れた場所の人たちと今でも連絡を取っていますし、絵の展示会にきてくださる方もいます。
総じて、普段の生活では経験できないことがおてつたびで体験できました。いつかおてつたびをきっかけに描いた絵を集めて、作品展を開いたら面白いなと思っています。
ーぜひ見に行きたいです!ありがとうございました!




